簿記1級を勉強していると自然と税理士試験の「簿記論」と「財務諸表論」の情報が入ってきます。
税理士を目指していなくても簿記1級を勉強していて「簿記論」「財務諸表論」の存在がチラついた人は、多いのではないでしょうか。
私もその1人で結局、簿記1級を合格後に税理士試験の「簿記論」と「財務諸表論」を取得しました。「簿記論」・「財務諸表論」は、税理士試験の科目の1つに過ぎず、それぞれ合格したところで、税理士のように、何か独占業務ができるわけではありません。
では、なぜわざわざこの2科目だけ取得したのかというと、それは簿記1級合格後に、ついでに受かりやすい試験だからです。

財務諸表論を受ける予定は全くなかった
そもそも財務諸表論ってどんな試験??
「財務諸表論」とは、税理士試験の必須科目です。
5科目以上合格が必要な税理士試験で「簿記論」と同様に必須科目と呼ばれるもので、税理士試験の基礎となる科目です。
主に、会計処理の考え方を学びます。暗記や、文章での説明も多くて、とにかく数字を計算していく「簿記1級」や「簿記論」とは少し問題の形態が異なります。

瞬発力より思考力の試験
簿記一級合格後は簡単に取れる??勉強時間は?
財務諸表論は簿記1級もしくは簿記論の合格者の場合、ちゃんと準備すれば合格できる試験です。努力が報われやすく、税理士試験の中では、一番簡単だといわれています。
私は簿記論に合格した翌年の試験で財務諸表論に合格しました。1日3時間位、1年間の勉強で、「猛勉強した」という感じではありません。
最初こそ大手予備校に申し込みましたが、簿記1級、簿記論のあとで、内容が既に知っている事ばかりだったので、解約して独学に切り替えました。
簿記1級で2年間予備校に通い、勉強法や教科書の使い方に慣れていたので、学校の教材だけをそのまま使い、独学しました。

残りの授業料は月割りで返金された
財務諸表論は、努力が報われやすい試験
数字を計算するより、文章で回答する事が多いので「簿記1級」や「簿記論」のように「最初の計算を間違えたら、その後の答えを芋ずる式に間違う」という大事故が起きません。
必要量の知識をもっていれば合格できる、努力が報われやすい試験です。
財務諸表論と簿記論は、セットで受けるべきか??
内容が重複しているため、「簿記論」と「財務諸表論」はセットで受験する人が多いです。予備校でもよく「簿財パック」として2つの科目を1年で学習するカリキュラムを組みます。
一方私は
簿記1級 → 簿記論 → 財務諸表論
の順番で1つずつ受験しました。税理士を目指していないし、合格を急いでいなかったので、簿記1級に合格した余力で少しずつ進みました。
もちろん税理士を目指している人には「簿記論」「財務諸表論」をセットで受験する事をお勧めします。
税理士になるには最終的に5科目合格しなくてはいけないので、1年で2科目合格するチャンスを逃すのはもったいないです。
税理士目を指してないのに、財務諸表論を取って意味があるのか??
財務諸表論1つ持っていても、資格としてあまりパワーはありません。「簿記1級」や「簿記論」を持っていたら、資格として財務諸表論を追加しても意味はありません。
税理士事務所などで働いて、科目合格手当があれば多少意味がありますが、金額は大きくないようです。ですが、
財務諸表論は、企業会計原則の考え方を勉強します。企業会計というのは、一定の原則はありますが細部まで規則があるわけではありません。現場の取引パターンが、どの原則に当てはまるのか、その都度考えて決まります。必ずしも正解は1つではありません。
財務諸表論では、取引を解釈するための原理を学びます。原理を知らないと「とりあえず、他の会社と同じ会計処理をする事」しか出来ないので、自分の会社に合った会計処理を作る事ができません。
同じ1つの取引でも、解釈により色々な会計処理が存在します。会計処理が変わると、利益や納税額も変わってきます。
処理のストーリーを理解していないと、税務調査が入ったときも、正々堂々筋の通った説明が出来ません。
「財務諸表論」を勉強してから、自信をもって経理が出来るようになりました。何か間違えたときも「このような解釈の元に、処理した。」とただのミスではなく、解釈の違いだという事が説明できます。
財務諸表論の勉強後は「あの会計処理は、あれでよかったかなあ。。」と心配することがなくなりストレスが減りました。

自分を信じられるように!
まとめ:財務諸表論は資格としては微妙だが、経理の知識的には最強
財務諸表論は、簿記1級合格者なら1日2・3時間、10カ月程度の準備で余裕をもって合格出来る資格です。資格として単独で持っていても微妙ですが、経理や経営者なら持っていて損はありません。
私は「簿記1級」「簿記論」「財務諸表論」を取得しましたが、実務において「財務諸表論」が一番役立っていると感じています。